芸文短大ネクスト50/3年目の取り組み~中長期を見通した方向付け~

2014年04月01日

大分県立芸術文化短期大学
学長 中山 欽吾
2014.4.1
平成26年度経営指針

はじめに
 2011年(平成23年)に50周年を迎えた本学は、これからの50年をネクスト50と称して、様々な改革を進めてきました。その3年目、平成26年度を迎えるにあたって、学長としての思いを手短に述べます。

進む改革
 まず、ここ数年にわたって進めてきた各学科の見直しと改革ですが、美術科デザイン専攻を、コンピュータを駆使するデザインを網羅する3コース体制に移行、国際文化学科の国際総合学科への再編、音楽科における吹奏楽教育の導入と続けてきたことは、昨年この談話でもお話ししたところです。
 情報コミュニケーション学科は、それまでMIPSの頭文字で、学科の学習内容を明確にしてきましたが、教員の入れ替わりなどを契機に、新たな取り組みに移行する準備を整えました。具体的には、心理学と体育をまとめて、体と心を学ぶ「心理スポーツコース」、社会学にビジネスに関する科目を充実させた「地域ビジネスコース」、従来の「情報科学」と「メディア」を統合した「情報メディアコース」の三つのコース制を採用することが決まりました。
●「心理スポーツコース」では、発達心理学・臨床心理学・社会心理学・スポーツと生活などを通して、心身の健康と人間関係の技能を修得します。
●「地域ビジネスコース」では、「仕事力実践特講」の新設や、「業界研究」から組み直した「地域ビジネス論」、「現代企業論」を改編した「地域企業研究」等が主要科目に並ぶ魅力的なラインナップとなり、
●「情報メディアコース」では情報科学とメディアの壁を取り払って、膨大な情報から正しいものを読み取る情報リテラシー、SNSなどを上手く活用する能力や、自ら情報発信する能力を実戦的に育成する「携帯アプリケーション開発」コースなど新設科目が並びます。
 これらの改革は、教員の構成が変わるタイミングでなければなかなか抜本的な対策を取れないことから、これまでも退職や他大学への異動によって新たな教員の採用が必要となった場合に、学科の新たなニーズを考慮に入れた体制を検討した改革を実行して来ました。
 昨年今年の入学生の状況をみると、こうした改革が優秀な学生を安定して集めることに成功したことは確かで、教育面からも卒業後の進路的に見ても、よい方向に行きつつあるのではないかと思っています。

あり方検討会
 次に、本学の将来のために重要な意味を持つ委員会についてお話しします。通称「あり方検討会」と呼ぶ、県の担当部局が立ち上げた「大分県立芸術文化短期大学のあり方について」という正式名称を持つ委員会のことで、今まで3回にわたって卒業生を含め外部委員を中心として検討会を実施した、本学の中長期にわたる戦略を検討する委員会です。
 主要検討課題は本学が全国唯一の芸術系公立短大であるという特徴を生かしたうえで、同一キャンパス内に県立の芸術系高校が設置されていること、さらに、県立美術館と県立総合文化センターとを併せた芸術文化ゾーンが創造されることを活かして、
 (1)教育機能の充実強化
 (2)地域貢献・芸術文化ゾーンとの連携
 (3)機能充実のための施設整備 について検討を行いました
 特に指摘されたのが、本学は抜群の立地にありながら、老朽化した施設や、専門教育には欠かせない施設に不備があること、構内にある芸術緑丘高校との高大連携が十分にされていないなどで、見直し意見が出され、老朽化した芸術系の校舎の新築もしくは既存建物の大規模改修が提案されました。また市内からのアクセスを改善する大型車進入路、改修に伴って不足する駐車場の新設等が提案されました。中でも最も強調されているポイントは、学内にあり芸術緑丘高校との高大連携の実質的な進展を行うために、交流ゾーンを充実させること、そのための学生会館的なスペースを現在の駐車場近辺に配置すること、また、ホールとギャラリーを併せ持つ芸術系学科のシンボル的な建物をキャンパスの中央部に配置するなど、幾つかの案が提出されました。
 この会議の結果は、すでに御手洗委員長(大分県出身・元文科省事務次官)より、県知事に報告があり、26年度には、調査費として予算が組まれるところとなりました。

生涯学習
 生涯学習部門はすでに木工や陶芸のような「ものづくり系」や、音楽などを学ぶ「実技系」を中心に逐次スタートしており、授業履修やセミナーの「座学系」を加えて大きく二つの柱としてスタートしてきました。ところが、当初考慮していなかった問題があり、全面的な展開はまだ実現できていません。一番大きな問題は収支均衡で、本学がこのような生涯学習部門を独自に運営していくためには避けては通れない課題です。今のところこのような問題があるために、「生涯学習センター」といった制度的な整備まで行う事ができず、逐次スタートしていく中で、問題を解決しながら次にステップに進めるよう検討を進めていきたいと思います。

まとめ
 今年から来年にかけては、県の芸術文化ゾーン宣言と県立美術館のオープン、駅前ビル・ロータリーの完成、国東、別府プロジェクトや大分市が始めたトイレンナーレと、芸術・文化の関係する大きな風が吹いており、地域に立脚する「芸術文化」の名を冠する大学として、立ち位置を見定める年としなくてはなりません。そのことによって、本学の存在価値が改めてはっきりと浮かび上がるよう、組織を挙げてそれぞれの立場立場で行動して頂きたいとお願いします。
 私自身は、今年で70歳代半ばを迎えます。体力・気力の点から後進に道を譲るという考えは、ずっとあったのですが、昨年から総合文化センターの館長の要職にお声掛けをいただき、今まで館長を置かなかった時代から、隣り合わせる美術館と並んでお互いに良い意味で競い合う存在にしていく使命を受けたと感じており、その過程で本学の皆さんにも直接間接に関与して頂くことになると考えられます。その両面で成果を出すために、並行して進む予定のキャンパス・リニューアルも含めて、今少しお世話をさせて頂くことをお許し頂きたいと思います。


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