Epistula Vol.25 (2012年03月14日付)掲載

心に響く歌

 音楽は、人の生活にはなくてはならないものです。楽しいにつけ、悲しいにつけ、音楽が耳に入ることで感情がますます高まって来るのは誰もが経験することだと思います。中でも歌の持つ力は格別です。

 私が東京二期会で仕事を始めた頃、近郊の町で、6、7名の歌手による小さなコンサートを開いたことがあります。お客様は全員がご老人達で、歌ったのはわらべ歌や小学唱歌でしたが、終わった後に会場を後にする皆さんが目に涙を浮かべていました。感想文にはその歌の数々が如何に心を打ったかという文章で埋め尽くされており、歌は、それを聴く人の心の奥に眠っている様々な記憶を解き放ってあふれ出させる力を持っていると改めて確信しました。

 最近、中高年の人達が、厳しい仕事の合間に、若い頃歌ったフォークソングやバンドを再開したり、当時人気だった歌手達のリバイバル公演に大勢集まるシーンがテレビで紹介されるようになりました。みんな夢中で歌を歌い踊っているのを見ると、歌の種類は問わないのではないかと思えてきます。

 本学で学ぶ若い人達にとっての思い出の曲は、どんな歌だろうと考えて見ましたが、子どもの頃お母さんから聴いた歌か、高校までの音楽の時間に習った歌か、人気グループの歌か、それともテレビから流れてきたコマーシャルや番組のテーマ音楽か、あまりにも多くの歌があってちょっと想像がつきません。それくらい沢山のメロディーが世の中にあふれています。
 
 はやり歌の流行は短いので、年齢が少し違えば感じる歌も違うということになるのかも知れませんが、少なくとも私がぐっと来る歌とは随分違うだろうなあと思いを巡らせると、少なくとも明治期から私が育った頃まで連綿として歌い継がれてきた小学唱歌のような共通の歌は、今はもうないのかなあと少し心細くなるのです。皆さん如何ですか?

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