Epistula Vol.15 (2009年04月01日付)掲載

花の絵手紙

 私は時々、はがきに水彩で花の絵を描いて友人への近況報告や、いただいた手紙の返事などに利用しています。絵手紙といえば、最近はテレビの講座にもなった描き方が思い浮かびます。小池邦夫さんという方が編み出した独特の方法で、はがきに絵と文を書いたものをいうようです。
 この講座のキャッチフレーズは「ヘタでいい、ヘタがいい」というもので、特徴は筆の端をつまむように持って垂直に垂らして、絵を描くことにあるようです。当然、引かれた線は太かったり細かったり、ふらふらと凸凹ができたりして、それが描かれた絵に不思議な味を出すので、個性的な絵が描けるというのですが、このやり方で書くと誰が描いても同じような絵になるのですから、何が個性的かと疑問に思っていました。数行の文章もつけられるのが普通ですが、ネットで検索してみるとこれがなかなか変化があって面白いのです。
 昔、同じような絵を描く武者小路実篤という文化勲章も受章した文学者・思想家がいました。一見幼稚に見える絵ですが、見るほどに味があって、そこに書かれた短い文がすばらしく世の中の人々に大きな影響を与えました。
 私が描く絵手紙は、そもそもは年賀状が発端で、昔は木版画でした。段々時間が取れなくなって、スケッチをプリントゴッコではがきに刷り、そこに水彩で淡彩をつけるようになったのです。1枚1枚微妙に彩色が異なるので、手作りの感じが出るのがミソですし、花のスケッチは生き生きと描くには筆の勢いが大切です。
 東京の家の玄関にいつの頃からか沈丁花の花が咲くようになったのですが、小鳥が運んできた種から育ったものと見え、三月になると馥郁たる香りとともに赤みを帯びたつぼみから白い花を一杯咲かせます。毎日前を通る度に春の到来を感じるので、スケッチしては絵手紙を作っていたら、ここ数年の間に三度絵手紙になりました。「仏の顔も三度」というからもう止めようと思っていたのですが、やっぱり、今年も作ってしまいました。学長室においてあるので、興味のある方は見に来てください。

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