Epistula Vol.13 (2008年09月31日付)掲載

「中山新学長から、みなさんへ」

 この度、任期途中で退任された利光前理事長兼学長の後を引き継がせていただくことになりました。歴代にわたって斯界の権威や大学教育経験者が務めて来られた重責ですから、音楽事業に従事して来たとはいえ、私のような実業界出身者は異例のことで身の引き締まる思いです。もし40年以上の実社会生活を通じて得た経験や知識が、この歴史ある学舎においてなにがしかのお役に立つとすれば、これに勝る光栄はありません。
 本学の専門分野である芸術(音楽・美術)、国際文化、情報コミュニケーションは、それぞれの専門知識のみならず、人生を通じた真理の追求、多様な文化への理解と交流、人間として大切な情操など様々な切り口からみても、常に変わることのない、社会生活における必須の基本要素です。たとえ、学生の皆さんはその中の一つを専攻して学ぶにしても、すぐ横には異なる分野を選んだ仲間がいる、そのような学舎はそれぞれの考えを持ちながら、お互いに交わり論議し合う中で、人間として多様でありながら調和の取れた社会人に育っていくこの上ない環境だと信じています。
 これからは大分の地を本拠に、900名近い若者たちが学ぶ本学のために微力を尽くすとともに、教育の前面に立たれる教師陣や運営を支える事務局の方々の力を結集できるよう努力していく所存です。
 一方で約11年続けている東京でのオペラ団体の仕事も、ある限度で続けていこうと思っています。オペラの世界は、音楽、舞台美術や衣裳、演出など様々な専門家たちが協力して舞台を創造する場で、多様性の中の統一の姿とも言えます。直接このような芸術創造現場での実践を続けることが、大学に身を置く立場でも強みにできるよう自らを律して行く所存です。
 私事ながら、高校卒業アルバムの寄せ書きに「歌も歌ったし、絵も描いたし」と書いて以来、約半世紀ぶりの故郷での新しい職場が芸術文化短大であることに何か運命的なものを感じています。どうか皆様のご指導とご協力をお願い致します。

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