アジア大会初日
<Aグループ>
韓国7−9日本(2−2・3−3・2−2・0−2)

<Bグループ>
カザフスタン17−6シンガポール

ひやひやものの勝利でした。
日本は攻撃は退水ゾーンなどである程度きまるものの、退水を多く取られ、青柳、長沼、中川と永退に。
4ピリも速攻が決まらず流れが韓国に傾きかけたところをよく持ちこたえ、加点。
初戦をものにした。


2日目
<Bグループ>
イラン13−3シンガポール
<Aグループ>
中国7−8日本(1−3・1−2・3−1・2−2)
得点者:中川1、田中1、山本1、佐藤太一2、青柳3

日本はとてもよい立ち上がりだった。退水ゾーンを確実に決め得点を重ね、2ピリまでに2−5とする。
しかし、3ピリに退水ゾーンを決めれば2−6となるところを逆に失点。流れが中国に傾き最終ピリオドを5−6で迎える。
先に2点を取り5−8となったところで試合を決めたかに見えたが、その後中国に再び連取され1点差に。しかしラスト2分の攻防もラスト30秒でマイボールにするとボールを保持してタイムアップ。
何年ぶりになるのでしょうか、中国戦の勝利!!

日本はAグループ1位が決定しました。
Bグループ2位と準決勝、勝てば決勝へ。同時に来年夏の世界選手権の出場権を獲得。


3日目
今日は日本のゲームはありませんでした。
しかし、準決勝の対戦相手を決めるBリーグの対戦がありました。

<Aグループ>
韓国5−9中国
<Bグループ>
カザフスタン12−4イラン

<グループ順位結果>
A:1位日本 2位中国 3位韓国
B:1位カザフスタン 2位イラン 3位シンガポール

場所:チャンウォン水泳場(Changwon Swimming Pool)
釜山国際空港から昌原(チャンウォン)市へシャトルバスで40~50分(500円程度)
タクシーで空港からプールまで40~50分(3000〜4000円)

自分は今日までで帰りますので、明日からのレポートは科学研究の榎本さんにお願いしています。


4日目
おめでとう!
日本チーム、イランを破って決勝進出です。
同時に来夏のスペイン・バルセロナで開催される世界選手権の出場権を獲得しました。

<準決勝>
日本12−9イラン(2−1・2−3・4−3・4−2)
得点
1p:松原1、中川1
2p:中川1、遠藤1
3p:長沼1、山本2、青柳1
4p:田中2、青柳2

前半は松原を封じ込められ接戦(笛も少し厳しい傾向に)、後半笛の傾向も少し変わり持ち味を出してきたということです。
(情報提供は現地から科学研究の榎本 至さん)

<準決勝>
カザフスタン9−2中国(3−1・2−1・2−0・2−0)
<5−6位決定戦>
韓国11−4シンガポール(3−0・3−3・2−0・3−1)


5日目
<3位決定戦>
イラン6−10中国(1−4・0−1・3−3・2−2)
<決勝>
日本10−10カザフスタン(1−1・3−3・1−2・3−2・1−0・1−2)
ペナルティシュート合戦 日本4−5カザフ
得点
1p:松原1
2p:田中1、青柳1、長沼1
3p:青柳1
4p:遠藤1、中川2
延長1:山本1
延長2:佐藤太1

<最終順位>
1位 カザフスタン
2位 日本
3位 中国
4位 イラン
5位 韓国
6位 シンガポール

<筑波大学・高木英樹先生による観戦記>
水球メーリングリストに投稿された内容を転記させていただいています。なおこれは、得点者などの確認がされていない状態なので、誤記があれば変更いたします。)
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昨日のカザフスタンとの決勝戦,わが水球人生の中でも最もしびれる一戦でありました。得点経過等に関しては,既にご承知のとおりですが,いやー,それにしてもジャパンはよく頑張った。審判の割り振りをめぐってテクニカルミーティングが紛糾し,3位決定戦の開始が30分送れ,そのあおりをくって,決勝戦もほぼ30分遅れでスタート。

結局,決勝戦は上位4チームとまったく関わりの無い,5位,6位チームの韓国とシンガポールの審判が担当することになった。あえて申し上げたいが,このレフリーがジャパンに有利であったとか,不利であったとかは,問題ではなかった。それほどジャパンチームは成長し,少々不利な笛を吹かれても,動じなくなったのが一番の成長した所と思われる。

試合前は,正直言って,「いい試合をして欲しい」と願うだけであった。それほどカザフスタンは強く,簡単に勝てるような相手ではないことは,先刻承知の上である。しかしスタンドから見る限り,選手もいたって冷静で,あまり気負った様子は見られなかった。それより一戦一戦勝利を重ね,決勝と言う大舞台に進めた達成感と,「こうなったら思い切ってやるだけ」という,ある種開き直りが感じ取れた。
韓国の子供たちが日章旗を振り,「ニッポン!」コールを大合唱する中,試合開始の笛がなった。序盤,試合のペースを握ったのはなんとジャパンであった。金メダル至上命令が下っているカザフスタンの方が明らかにプレーが硬い。カザフスタンは,浮沈戦艦のようなフローターをゴール前に浮かべ,日本のゴールをこじ開けようとするが,ジャパンの巧みなゾーンディフェンスに放浪され,カザフスタンらしい攻めができない。逆にジャパンは相手のミドルシュートミスに乗じて,速攻を繰り出し先取点を上げた。この先取点でジャパンは波に乗っ。
その後は,追いつ追われつの白熱したゲーム展開となるが,ジャパンはスピードと組織力で,パワーのカザフスタンに一歩も引けを取らなかった。むしろ予想以上の苦戦にカザフスタンの焦りは頂点に達し,ピリオド間の休みには,ふがいない試合内容に大きな声で選手を叱責するコーチ陣の声が大きくプールに響いた。

そして5-6の1点ビハインドで迎えた最終ピリオド。「この調子なら勝てるかも,,」という楽観的な思いと,「競っても最後はカザフにやられてしまうのでは,,」という不安が交錯する中,ジャパンは思いっきりよく速攻を決め,同点に追いつく。益々勢いづくジャパンチームであったが,アジア水球の覇者を自認するカザフスタンもここから怒涛の攻めを見せた。たまらず中川が退水し,退水ゾーンを決められ,再びリードされる。そして一進一退の攻防が続く中,ジャパンも必死に食い下がり,遠藤が得点し再び同点。この時点で残り1分をきり,このまま延長戦かと思われたが,ここからドラマが始まった。カザフスタンがタイムを取り,最後の勝負に出る。ジャパンもここが我慢のしどころと,ディフェンス形態を確認する。まさに金メダルをかけた両者のガチ ンコ勝負。カザフスタンは何とかフローターにボールを入れて勝負をしたい。しかし ジャパンも絶対ゴール前には入れさせない必死の守り。そして35秒のオーバータイム 寸前,カザフタンの放ったシュートはバーに当たり,フィールドに落ちる。マイボー ルかと思われたが,このこぼれ球をカザフスタンの選手が強引に拾い、バックシュー トを決めた。残り7秒での失点,誰もがこれが決勝点となると思った。

しかし水球とは最後まで分からない。残り7秒を残して,ジャパンは2回目のタイムをとる。残り7秒では,さしたる攻め手は無い。そこでジャパンは青柳の7mシュートにかけた。フリースローを取り,渾身の力をこめて青柳が打ったシュートは、無情にもディフェンダーの手に当たり,ゴールバーを越えた。そして残り時間1秒,まさに万事休す の事態に至ったが,残り1秒でのコーナースローに一縷の望みをかけて,佐藤太一がフ ァーサイドのゴールポスト上にふわりとパスを上げた。するとそのボールを中川が指先ひとつ競り勝って,ゴールの中に押し込んだのだ。まさに奇跡の1点と言える。この得点により8対8の同点となり延長戦にもつれ込んだ。

延長に入っても両者一歩も譲らず、まさにがっぷり四つに組んだ大相撲の様相を呈する。しかし格で言えば、カザフスタンが横綱とすると、日本はあくまでも新小結といったところ。しかし今日の試合に限っては、十分に横綱を土俵際に追い詰めた。しかし寄り切るだけの力は残されていなかった。結局、延長戦も双方2点ずつ加え、10対10のままペナルティー合戦となった。
私も国際試合でペナルティー合戦を見るのは初めて。ジャパンは、山本、松原?、佐藤太一、青柳、田中のオーダーで望んだ。手に汗握るとは、まさにこのような場面で使うのだろう。カザフスタンが先攻で決めれば、日本も負けじと食い下がる。そして5人目のキャプテン同士のスローまでもつれ込んだ。結果は、周知のとおり。残念ながらジャパンはあと一歩のところで勝利を逃したが、両者の健闘を讃えて、会場の拍手は鳴り止まなかった。

ジャパンは、本大会で大きく成長したのは、間違いない。しかし今回の銀メダルはあくまでも通過点にしか過ぎないことは、選手が最もよく分かっているだろう。本大会で2位に入賞することで、来年7月にバルセロナで開催される世界選手権の出場権を獲得した。バルセロナではぜひ福岡での雪辱を果たしてほしいものである。

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