ここまでの試合、2人で合計19得点の中野ツインズ擁する優勝候補筆頭秀明英光、昨年の決勝に臨んだチームよりも確実に成長の跡が見られる。昨年の3位からまた一歩前進し、昭和60年度以来15年振り悲願の優勝に大手を掛けた由良育英、こちらも実力あるチームなだけにドームの外と同じく嵐が吹き荒れる予感の決勝戦である。
お互いピーンと張りつめた緊張感の中慎重な立ち上がり。秀明は意表をつくようにいきなりの8mミドルを中野(洋)が放つがクロスバー、由良もセンター佐藤フローティングからシュートするがGK正面をつく、お互いまだ堅さが見られる。1pは由良:北野が右45度からのミドルで先制。秀明:中野(洋)がパワープレー左サイドから決めて同点、この序盤戦はトップレベルの対戦にありがちな均衡状態が続く。しかし2pに入ると、秀明本来のインスピレーションあふれるプレーがでる。早い展開から相手が下がり気味になると見るや、中野(洋)が8mのミドルをズバッ、中野(亮)は左サイドへ流れる状況から振り向きざまにクイックシュートで同サイドにグサッ、浜田がゴール前に上がったセンタリングをボレーでズドン。由良も1pと同じ感じで北野がミドルを打ち込んで得点。2点差秀明リードで折り返す。後半はお互いミスからのカウンターをケアしてか、ゆっくりした攻防とここまで何度も練習してきたであろうセットオフェンスのせめぎ合いとなる。由良はセットからトップの北野がシュートと思ったパスをフローター佐藤が受けて見事なゲット、1点差とする。秀明は中野(亮)がフロートしじっくり攻めるが、由良GK西村が連続4本のファインセーブ"乗ってる"といった感じ。4p、もう1点奪って楽になりたい秀明は、中野(洋)の心憎いばかりの左45度7mからのカーブをかけたハーフループがコーナーに突き刺さる。2点差を保ったまま刻々と時間は経過する。ラストに近づくと秀明は中野ツインズをダブルフローターに据え盤石のボールキープ体制を引く。ここでも(洋)がフロートシュートで加点し、1'29"で3点差とする。この後由良も平山が得点し2点差に詰め寄り、ボールを奪うたびのT.O.で逆転を試みるが、タイムアップのカウントダウンは秀明のためにドームに響き渡った。
ほんとに強かった秀明英光高校、昨年、大垣のプールに忘れてきた歓喜の涙をやっと取り戻せた。おめでとう!
創造性あるプレー・個人技能の高さを併せ持つ選手が多かったと感じる今大会。大会を通じて残る感動を胸に、ますます高い技術・精神力を身につけて、世界に対抗できるプレーヤーに育って欲しいものである。
記録者 南 部 健