阿蘇のカルデラに降った雨水が地下に浸透し、滔々とした時の流れの末に湧き出た地下水で満たされた熊本高校のプール、ひのくに熊本新世紀総体の開幕を飾る一戦は、過去優勝経験もありインハイ常連校の広島修道高校と、地元の期待を一身に背負うインハイ初出場の熊本学園大付属高校。
 序盤は両チームとも動きが堅く、シュートミスでターンオーバーを繰り返す。熊学GK中山の好守が光る。堅さのとれた2pからゲームが動き、退水チャンスを生かした修道が先取点。寺内の個人技からの得点もあり2点差で後半戦へ。序盤ミスの多かった熊学だが、3pに入ると本来のしつこいマンツーマンディフェンスからの飛び出しなどでチャンスを作り、川井田が脚の強さを見せゴール前回し込みからゲット、1'35"にも石川がミドルシュートを決め同点に追いつく。最終pに入り一生懸命の攻防が続く中、相手退水時にT.O.で一息ついた修道は田中が慎重にパワープレーを制して1点リード。何とか追いつきたい熊学も1'10"に川井田がパワープレー右45°から見事なクロスを決め再び同点。息をのむ緊張の攻防が続く。残り45"で熊学は相手退水のチャンスを得、T.O.で慎重にシュートをねらうがこれが決まらず。これに乗じた修道はカウンターから相手のマークミスを誘い、田中がノータイムのループシュートを放つ。タイムアップのブザーとともにボールはゴールラインを横切り、劇的な幕切れとなった。
 熊学は再三のパワープレーチャンスを生かし切れなかったのが敗因となった。修道はエースの寺内が要所を締め、最後のカウンターも狙いすましたかのごとくしかけられ球技センスの良さが光った。ゲーム終了後、サポーターに挨拶する四本キャプテン以下熊学の選手たち全員の目には悔し涙があふれていたが、会場の観客全員が熊学の健闘に拍手を送っていたのには爽やかさが感じられ印象深かった。

記録者 南 部  健


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