自分がクィーンズランド州サンシャインコーストで見てきたのは、ほとんどサーフライフセービングです。しかし、こちらで調べているうちに、オーストラリアにはサーフ以外にロイヤルライフセービングがあることも知りました。サンシャインコーストの場合、あまりにもビーチが占める割合が多いので、サーフの方が目立つ存在でした。
この体験記でも書いたように、各ビーチにサーフクラブがあるほか、サンシャインコーストという地域に支部があり、職員が常駐していました。訪れたときには、ディレクターのKen O'connell氏にもお会いすることができ、年間レポートなどの資料を収集することができました。新聞のコラムには、この方の名前で頻繁に「Between the Flags」という題名のビーチでの安全を呼びかける内容が掲載されていました。
サーフライフセービングのホームページ http://www.slsa.asn.au/
クィーンズランドのホームページ http://www.lifesaving.org.au/
一方、ロイヤルライフセービングのホームページから、サーフ以外での安全にする団体があることを知りました。東会長さんからも同様の情報を戴きました。
サンシャインコーストにも支部があるのを知り、訪れてみました。サーフとは少し違い、民家の中に支部がありました。民家といっても立派な門があり、郵便受けの上には泳いでいる(?)人形があるのが印象的です。そこの家主Russel Green氏がサンシャインコーストのディレクター。家の奥には縦15メートル(水深1.5m)ほどのひょうたん型のプールがあり、そこで水泳指導(スイミングスクール)もされています。
訪れたときには、Russell氏はちょうど小さな子供を指導されていて、奥さんはロイヤルの大会があるとかで子供たちのグッズを準備していました。ここでもマニュアル他、年間レポートを収集することができました。(東会長に郵送しました)
ロイヤルライフセービングのホームページ http://www.rlssa.org.au/
さて、気候的にはだいぶ涼しいメルボルン(全豪テニスで有名)でのことです。メルボルンのあるビクトリア州のビーチは、クィーンズランド州ほど遊泳期間が長くなく、一部はロイヤルがパトロールを行っていました。セントキルダというシティから近いビーチを訪れたときは夏なのに気温が20度で、ライフセーバーはいるものの誰も泳いでいない状態でした。
プールの方は、大都市なので立派なものがあり、そこではロイヤルライフセービングのロゴの入ったウェアを着た人たちがガードしていました。日本のプールとちょっと違うのは、公営で大きな競技会ができるプールでも、その横には大人から子供までが遊べる大きな遊泳用のプールがあることです。30分おきに大きなウェーブが起きたり、泡や噴水が水面からあがったりするプール。超迫力のウォータースライダー、大人もOKです。アクアビクスが終わるとそこには20m程の大きなフロートが出現、順番に子供たちがフロートの上ではしゃいでいます。高さ3mの飛び込み台にも列ができています。こんな多機能プールですから、監視体制もただプールサイドの監視台からだけというわけにはいきません。ウェーブの時間になると一面が見渡せる高いところに立ち、溺者を見つけたら救助用のひも着き巾着袋を投げれるように構えています。フロートの周りにはレスキューチューブをもったガードの人がいます。飛び込み台の上にも安全を確認して合図を出す人がいます。とにかく楽しいプールで、こんなの日本にもあったらというものなのですが、それだけに監視体制も重要なのだなと感じました。
もうひとつ、AUSTSWIM(オースツスイム)という団体があります。これは、水泳の初心者指導と安全プログラムを指導する団体なのですが、水泳協会、水泳指導者協会、サーフ、ロイヤル、などと相互に協力しあっていくよう組織が作られています。プールやスイミングスクールの広告には「AUSTSWIMの資格取得コーチ在籍」などの文句がよく記載されています。その講習会を11月半ばにブリスベンのサニーバンクスイミングで見学させてもらいました。
受講者は講習料が220ドル(約1万5千円)でテキストと勉強用のCD−ROMをもらい、2〜3日の講習会を受けます。受講者は水泳指導者の他、プール従事者、看護婦、教員など30名ほどいました。見学したときの内容の方は、教室での講義やグループディスカッションの後、日本でもよく行われているような救助法や飛び込みの指導法など特に変わった内容はありませんでしたが、ここでも受講者は足の着かない深いプールで、全員何とか実技内容をこなしていました。
このような講習会が、クィーンズランド州で年間に40回程各地で実施されているということです。国土は広いものの、福岡県より人口が少ないこの州で、こんなに多くの講習会が開催されているとはちょっと驚きでした。