第50回卒業式・第32回専攻科修了式 学長式辞
2012年03月27日
本日、大分県立芸術文化短期大学を卒業される369名、また認定専攻科を修了される47名の皆さん、誠におめでとうございます。ご多用のなかを広瀬知事様、大分県議会議長様ほか、ご来賓の皆様方にもご臨席いただき、本学役員及び教職員とともに門出をお祝いできることは、私の最も喜びとするところであります。また、ご参列くださいましたご家族、関係者の方々にも、心からお慶び申し上げますとともに、私どもの教育に後援会を通して様々なご支援をいただいたことに対しても、厚く御礼申し上げます。
特に認定専攻科は、今回4度目の修了生を送り出すことになり、2年間の学修成果により4年制の大学と同様の学士号を取得し、その中には大学院への進学を決めた方も複数います。単なる短大に留まらない展開が始まっています。
平成23年度は創立50周年に当たり、昨年4月早々から本年3月まで多彩な行事を繰り広げてきました。素晴らしいイベントの数々に、「芸文短大の誇りここにあり」といった高揚感を抱いたのは私だけではなかったと思います。このような歴史の区切りに本学で学ばれた皆さんは、先生方と一緒になって展開した数々の学内外での活動が、マスコミに報道される回数が飛躍的に増えた時期でもあり、思い出深い年月であったと思います。
私が着任して3年半になりますが、当時、十分に外部発信できているとは言い難かった本学の大きな可能性に気がつき、「小さくてもキラキラ輝く宝石のような大学になろう」というキャッチフレーズを掲げました。それがもう今では、キャッチフレーズにする必要もないくらい輝きが増しています。その先頭になって頑張ってきた皆さんが、今日この日、本学を後に社会に巣立って行くことになったのです。日頃から数々の機会で見せてくれた皆さんの積極性は、私自身も学長として負けずに頑張らなければ、という気持にしてくれました。皆さんと共に過ごした日々は長く記憶に留まる楽しい思い出でした。有り難うございました。
さて、昨年は学生が留学中のニュージランドで遭遇したクライストチャーチ大地震に続いて、3月11日には東北大震災が未曾有の被害を出したことでも、忘れられない記憶として胸に刻み込まれました。被災地の皆様に改めて深く哀悼の意を表する次第です。1年経った今でも、現地の回復は遅々としており、多くの被災者の生活は厳しく、その中で懸命の努力が続けられていますが、一日も早い復興が実現するよう皆さんと一緒にお祈りしたいと思います。
私が着任して3年半になりますが、当時、十分に外部発信できているとは言い難かった本学の大きな可能性に気がつき、「小さくてもキラキラ輝く宝石のような大学になろう」というキャッチフレーズを掲げました。それがもう今では、キャッチフレーズにする必要もないくらい輝きが増しています。その先頭になって頑張ってきた皆さんが、今日この日、本学を後に社会に巣立って行くことになったのです。日頃から数々の機会で見せてくれた皆さんの積極性は、私自身も学長として負けずに頑張らなければ、という気持にしてくれました。皆さんと共に過ごした日々は長く記憶に留まる楽しい思い出でした。有り難うございました。
さて、昨年は学生が留学中のニュージランドで遭遇したクライストチャーチ大地震に続いて、3月11日には東北大震災が未曾有の被害を出したことでも、忘れられない記憶として胸に刻み込まれました。被災地の皆様に改めて深く哀悼の意を表する次第です。1年経った今でも、現地の回復は遅々としており、多くの被災者の生活は厳しく、その中で懸命の努力が続けられていますが、一日も早い復興が実現するよう皆さんと一緒にお祈りしたいと思います。
ここで敢えて私は、昨年のこの席でお話しした三つの心について再び触れたいと思います。一人の人間として何が大切かを考え、今まだ厳しい状態に置かれている沢山の罹災者の方々のことを思う心、我々が無事に生きていけることは、何によって、誰によって支えられているかを知ろうとする心、そして三番目が大自然は人間が征服できるなどと思い上がるなという自らを諫める心です。この3つを、「思いやり」、「感謝」、「謙虚」の三つの心と言い換え、これからの長い人生で、大切な生きる指針として下さい。
その上で、自分の人生を自らの力で切り拓くことです。そのためには今ひとつ大切なことがあります。それは『正解のない問題』に答えを与えるということです。これまでの学校時代は、あらかじめ引かれたレールとゴールが決まっていて、その上を走ってきましたし、教わったことは知識として身につければいい、と思っておられる方も多いと思います。あらかじめ答えの与えられている問題を正しく解くことが試験の成績に繋がりましたから、そう考えるのも無理はありません。しかし、実社会ではそう簡単にはいきません。答えの分からない問題で一杯です。
つまり、これからは「答えの分かっていることだけではなく、『正解のない問題』に日々直面することになる」ということです。この『正解のない問題』とは一体何でしょうか。
社会に出ると、一人だけの生活はありません。社会にはお互いに考えの違う沢山の人達がおり、その中で物事を決めて実行していくことが必要になります。そんなとき全て人の言いなりになりますか? それとも自分の意見を言いますか? 自分の意見を言うときに、相手が納得してくれる自信がありますか? どうすれば納得し賛成してくれますか? マニュアルに書いてある訳ではない、これら沢山の物事を、あなた方はどう答えを出していくのでしょうか。
この、疑問に対して、私は「頭の中の引き出しを増やせ」と申し上げます。本学の広報誌である「エピストゥラ」でも書きましたが、頭の引き出しとは、単なる知識の数ではなく、それが利用できる形に変えられてしまわれていることを言います。つまり答えを引き出すための「自分だけの辞書」であり、「道具」であり、「知恵」なのです。未知の問題に遭遇したときも、この利用できる引き出しを総動員して答えを見つけるのです。
では、どうしたら引き出しが増やせるのか? 実は、知識は左脳で受け入れるのですが、私は、この知識を右脳の感性や直感で耕すことによって自分の感覚で判断できるようになることだ、と思っています。私は今「知識を耕す」といいました。実は文化はカルチャア、しかも教養という言葉も英語ではカルチャアとかアーツというのです。カルチャアとは耕すとか栽培するという意味です。そしてアート(アーツ)は芸術、技術、コツなど人間の持つ広い技能を意味する言葉です。つまり引き出しにしまってあるのはこのようなものなのです。
本学の特徴である芸術系と人文系の学科があって、お互いに顔が見える中で勉学を修めた皆さんには、他の大学にはない、左脳を右脳の力で耕す力、つまり文化を感受する力が備わっているのです。そして、今は自分自身気がついていなくても、周りを巻き込む豊かな感性を持っているということに気がつくときが来るでしょう。大学でも随分色々な事を学びましたが、それをもう一度思い起こして、耕して、引き出しにきちんとしまっておきましょう。社会に出ても、更に上級学校に進んでも、このことを忘れずに、いつも「引き出しは増えたかな?」と反省してみて下さい。
その上で、自分の人生を自らの力で切り拓くことです。そのためには今ひとつ大切なことがあります。それは『正解のない問題』に答えを与えるということです。これまでの学校時代は、あらかじめ引かれたレールとゴールが決まっていて、その上を走ってきましたし、教わったことは知識として身につければいい、と思っておられる方も多いと思います。あらかじめ答えの与えられている問題を正しく解くことが試験の成績に繋がりましたから、そう考えるのも無理はありません。しかし、実社会ではそう簡単にはいきません。答えの分からない問題で一杯です。
つまり、これからは「答えの分かっていることだけではなく、『正解のない問題』に日々直面することになる」ということです。この『正解のない問題』とは一体何でしょうか。
社会に出ると、一人だけの生活はありません。社会にはお互いに考えの違う沢山の人達がおり、その中で物事を決めて実行していくことが必要になります。そんなとき全て人の言いなりになりますか? それとも自分の意見を言いますか? 自分の意見を言うときに、相手が納得してくれる自信がありますか? どうすれば納得し賛成してくれますか? マニュアルに書いてある訳ではない、これら沢山の物事を、あなた方はどう答えを出していくのでしょうか。
この、疑問に対して、私は「頭の中の引き出しを増やせ」と申し上げます。本学の広報誌である「エピストゥラ」でも書きましたが、頭の引き出しとは、単なる知識の数ではなく、それが利用できる形に変えられてしまわれていることを言います。つまり答えを引き出すための「自分だけの辞書」であり、「道具」であり、「知恵」なのです。未知の問題に遭遇したときも、この利用できる引き出しを総動員して答えを見つけるのです。
では、どうしたら引き出しが増やせるのか? 実は、知識は左脳で受け入れるのですが、私は、この知識を右脳の感性や直感で耕すことによって自分の感覚で判断できるようになることだ、と思っています。私は今「知識を耕す」といいました。実は文化はカルチャア、しかも教養という言葉も英語ではカルチャアとかアーツというのです。カルチャアとは耕すとか栽培するという意味です。そしてアート(アーツ)は芸術、技術、コツなど人間の持つ広い技能を意味する言葉です。つまり引き出しにしまってあるのはこのようなものなのです。
本学の特徴である芸術系と人文系の学科があって、お互いに顔が見える中で勉学を修めた皆さんには、他の大学にはない、左脳を右脳の力で耕す力、つまり文化を感受する力が備わっているのです。そして、今は自分自身気がついていなくても、周りを巻き込む豊かな感性を持っているということに気がつくときが来るでしょう。大学でも随分色々な事を学びましたが、それをもう一度思い起こして、耕して、引き出しにきちんとしまっておきましょう。社会に出ても、更に上級学校に進んでも、このことを忘れずに、いつも「引き出しは増えたかな?」と反省してみて下さい。
さて、本学での2年、もしくは専攻科を含めた4年は多分、アッという間に終わったことでしょうが、だからといって決して遊んで暮らした訳ではありません。よく頑張ったからこそ、今日晴れて「前を見て進もう」という意識が持てるのではないでしょうか。また、本学には一度社会に出られて再び専門知識を取得するために入学された方もいらっしゃいますが、若い学生にとって良き先輩として頼りにされました。そのご努力に深い感謝の意を表したいと思います。今後も芸短で過ごした年月を自信の源として、沢山の引き出しを持って希望する道を邁進して下さい。必ず道は開けるし、周囲を幸せにすることができるということを、申し上げたいと思います。
平成23年を代表する漢字は『絆』です。数日前の選抜高校野球で被災地から出場した石巻工業の阿部主将選手宣誓で述べた言葉「日本が一つになりその苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。だからこそ日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう。日本の底力、絆を。」を改めて心に刻みましょう。そして皆さんに、「おめでとう、そして本学で得た様々な絆を胸に、思い切って未来に向かって飛び立て!貴方にはそれが出来る力があるよ!」という言葉を贈って、式辞と致します。
平成23年を代表する漢字は『絆』です。数日前の選抜高校野球で被災地から出場した石巻工業の阿部主将選手宣誓で述べた言葉「日本が一つになりその苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。だからこそ日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう。日本の底力、絆を。」を改めて心に刻みましょう。そして皆さんに、「おめでとう、そして本学で得た様々な絆を胸に、思い切って未来に向かって飛び立て!貴方にはそれが出来る力があるよ!」という言葉を贈って、式辞と致します。
平成24年3月23日
大分県立芸術文化短期大学 学長 中山欽吾
大分県立芸術文化短期大学 学長 中山欽吾
2011年度 > 第50回卒業式・第32回専攻科修了式 学長式辞