第49回卒業式・第31回専攻科修了式 学長式辞
2011年03月29日
本日、大分県立芸術文化短期大学を卒業され、また専攻科を修了される皆さん、誠におめでとうございます。ご多用のなかを二日市大分県副知事様、渕 大分県議会副議長様ほか、ご来賓の皆様方にもご臨席いただき、本学役員及び教職員とともに門出をお祝いできることは、私の最も喜びとするところであります。また、ご参列下さいましたご家族、関係者の方々にも、心からお慶び申し上げますとともに、私どもの教育に後援会を通して様々なご支援をいただいたことに対しても厚く御礼申し上げます。
今年4月1日は、本学の創立50周年という記念すべき節目に当たります。まさにそのタイミングで、2年間の学生生活を終えて卒業されますし、専攻科の皆さんには、さらにもう2年間の勉学を終えて修了されることは、長く記憶に残ることと思います。
今年4月1日は、本学の創立50周年という記念すべき節目に当たります。まさにそのタイミングで、2年間の学生生活を終えて卒業されますし、専攻科の皆さんには、さらにもう2年間の勉学を終えて修了されることは、長く記憶に残ることと思います。
短大卒業者が391名、専攻科修了者は49名であります。いずれも私が学長に就任して初めて迎えた方達です。入学式の時、私は「小さくてもキラキラ輝く宝石のような大学になろう」というキャッチフレーズを掲げました。2年たった今、芸文短大の雰囲気は大きく変わりました。沢山の友人、知人、そして卒業生の皆さんから、「芸短は元気になったね!」と言う言葉を頂きました。誰が見てもキラキラ輝き始めたのです。けれども、私は2年前に突然皆さんが目覚めたとは思っていません。むしろ、平素からこつこと努力していることが、県民の方々に伝わる仕組みを工夫したことが大きいと思います。
皆さんは在学中、様々な機会に学外で活動する経験をしました。地域社会特講とサービスラーニングで沢山の経験を積みましたし、インターンシップ、定期コンサートや出前コンサート、ふれあいアート作品展やふるさとスケッチ、また昨年4月に開設した芸文短大竹田キャンパスでの活動も含めて、地域の人たちとのコミュニケーションに力を入れて来た活動の結果が、皆さんの経験を通して輝き始め、はっきりと外から見えるようになってきた証拠でもあると思います。
私自身も学長として、先頭切って外に出かけていって「芸短はすごいよ!」と言い続けてきました。教職員の良きリードもあり、学生の皆さんの活動を評価して下さる方が増えるに連れて、輝きはどんどん強まり、全体として大きなうねりとなりました。そんな2年間を皆さんと共に過ごしたことは一生忘れません。有り難うございました。
さて、ここでどうしても触れなければならないことがあります。今月11日に千年に1度といわれる巨大地震と大津波が東北・関東を襲い、多くの尊い人命が失われました。皆さんにも忘れられない記憶として胸に刻み込まれたことと思います。被災者の皆様に心からお見舞いを申しあげると共に、お亡くなりになった方々に深い哀悼の意を表したいと思います。
このような席にふさわしくない話題かもしれませんが、敢えて皆さんにお話ししておきたいことがあります。地震とそれに伴う想像を絶する大津波、そして原子力発電所の事故、どれを取り上げても戦争に匹敵する大惨事ですが、平和な時代に自由を謳歌している我々人間の生活が如何に脆いものか、またこの大自然の中で人間の力が如何に非力であるか思い知らされる思いです。
ここで私は1人の人間として何が大切かを考え、「3つの心」を取り上げようと思います。まず、罹災され、今まだ厳しい寒さの中で十分な支援物資も届かない状態に置かれている沢山の方々のことを思い、今私たちは何が出来るかを考えること。そして、我々が無事に生きていけることは何によって、誰によって支えられているかを知ろうとする心を持つこと。そして3番目が、大自然は人間が征服できるなどと思い上がるなということです。
この3つを、「思いやり」、「感謝」、「謙虚」の心を持つと言い換えることができます。これからの長い人生の中で、大切な生きる指針となるでしょう。先月のニュージランドの地震では、ちょうど語学研修中でありました本学の学生やホテルで研修中でした卒業生も罹災しましたが、幸運にも全員ケガもなく、無事に帰国することができました。学生たちは帰国後、ホストファミリーをはじめ現地の多くの方々が、自分たちも罹災者でありながら、懸命に面倒を見てくれたことを異口同音に話してくれました。これも、思いやりと感謝によって、一生のきずなが結ばれた例だと思いますし、それが自分自身の心に「自らを譲っても人を助ける」ことの大切さが刻み込まれたものと思います。
さて、いつも言っているように、短大は入学する年と卒業する年しかありません。やらなければならないことは山のようにありますから、夢中で頑張っているうちに、2年など多分アッという間に終わったことでしょう。皆さん、本当によく頑張りました。社会に出る人、学業を続ける人、皆それぞれの場所で、芸文短大で過ごした年月を自分の自信の源として頑張ってほしいと思います。
専攻科の皆さんは、今回で3度目の修了生になります。皆さん方 49名を加え、これまでの修了生は142名になります。そのうち、4年制の大学と同じ「学士号」を希望された44名は全員取得することができました。学士号取得者も124名を数えることになりました。それぞれが目標を達成し、大学院への進学を決めた方も複数います。
また、本学には1度社会に出られて再び専門知識を取得するために社会人入学された方もいますが、若い学生にとって良き先輩として頼りにされました。このように、多くの仲間と交わり、ご家族、あるいはご親族、教職員など関係者の方々の有形無形のご支援に支えられて、皆さんは今日という卒業の日を迎えられたわけです。
これから皆さんの進む道は多様です。ただ確信できることは、この芸文短大での経験は誰に対しても誇っていい充実したものだったということです。その力を皆さん一人ひとりが持って、広くそして奥の深い社会に出て行ってください。
社会には、皆さん方を含めて、12,522名の芸文短大出身者がいます。たくさんの仲間ですから、出会うこともあるでしょう。そんなときには、ともに励まし合い力として下さい。
今までの学校時代は、あらかじめ引かれたレールとゴールが決まっていて、その上を走ってきましたが、これからは違います。レールもゴールもなく、むしろその双方を自ら決めなければならないという全く新しい人生のスタートです。既に成人式は済ませていますが、これからは真の大人として、自らの人生を設計して行かなければならないということになります。しかも、これからの人生は、今までの何倍も長いものです。
さて、一体どうすればいいのでしょうか。「なるようにしかならない」といって、流れに身を任せるだけですか。そうではないと思うでしょう?そんなときに、先ほどお話しした「思いやり」、「感謝」、「謙虚」の3つの「心」を思い出し、自分の毎日をそれに照らしてみて下さい。
自分が進んでいくために持つべき「心」は分かりましたが、それだけでは不足です。次は間違いなく前進していくための「3つの技(わざ)」を皆さんに伝授したいと思います。
3つの技とは「自分の意志を持つ」こと、「自分の得意技を持つ」こと、そして「実行する手段を持つ」ことです。
先ず、第1の「自分の意志を持つ」ですが、自分の進む方向を定めるには強い力、つまり意志の力が必要です。自分に自信が持てない人たちの中で、はっきりした意志を持った人はリーダーになることが出来ます。
一旦実社会に出て自分に仕事が与えられると、大学で学んだことが直接役立つのはごくわずかです。望まれる内容の仕事をするためには、改めて内容を理解し、そのための勉強が必要になります。そんな時に、自分の得意技があるとそれが自信になって、全てのことにその自信がプラスに影響を与えるようになります。それが第二の技です。
第3の技は「実行する手段を持つ」ということで、その手段として「三現主義」と「PDCAの輪を回す」をお奨めします。「三現主義」とは現場・現物・現状をみるということで、問題が起きたときに、人から聞いたことや読んだことだけで頭で考えて判断せずに、その起きた場所で、何がどのようになったのかを確認することです。
次にPDCAの輪を回すことですが、これはプラン・ドゥー・チェック・アクションのことです。自分が直面する事実に対して何をどのようにするのか、計画をして、実行し、その結果を判断して、改善すべきことは修正をする、これを何回も繰り返すことを「輪を回す」と表現するのです。今までやったことのない仕事を任されたとき、間違うことは恥ではありません。しかし同じ間違いを繰り返してはいけません。そんな時PDCAの輪を回すのです。回せば回すだけ、仕事の成果は目に見えてよくなっていくものです。「3つの技!」を忘れないで、役立ててください。
最後になりますが、私から皆さんに贈る言葉を申し上げましょう。本学の特徴である芸術系と人文系の学科があり、お互いに顔が見える中で勉学を修めた皆さんには、他の大学にはない、文化を感受する力が備わっているということを断言します。頭脳がバランス良く鍛えられることで、今は自分自身気がついていなくても、周りを巻き込む豊かな感性を持っているということに気がつくときが来るでしょう。自信を持って希望する道を邁進すれば必ず道は開けるし、周囲を幸せにすることができるということを、申し上げたいと思います。
改めて、「おめでとう、そして思い切って未来に向かって飛び立て!貴方にはそれが出来る力があるよ!」という言葉を皆さんに贈って、式辞と致します。
皆さんは在学中、様々な機会に学外で活動する経験をしました。地域社会特講とサービスラーニングで沢山の経験を積みましたし、インターンシップ、定期コンサートや出前コンサート、ふれあいアート作品展やふるさとスケッチ、また昨年4月に開設した芸文短大竹田キャンパスでの活動も含めて、地域の人たちとのコミュニケーションに力を入れて来た活動の結果が、皆さんの経験を通して輝き始め、はっきりと外から見えるようになってきた証拠でもあると思います。
私自身も学長として、先頭切って外に出かけていって「芸短はすごいよ!」と言い続けてきました。教職員の良きリードもあり、学生の皆さんの活動を評価して下さる方が増えるに連れて、輝きはどんどん強まり、全体として大きなうねりとなりました。そんな2年間を皆さんと共に過ごしたことは一生忘れません。有り難うございました。
さて、ここでどうしても触れなければならないことがあります。今月11日に千年に1度といわれる巨大地震と大津波が東北・関東を襲い、多くの尊い人命が失われました。皆さんにも忘れられない記憶として胸に刻み込まれたことと思います。被災者の皆様に心からお見舞いを申しあげると共に、お亡くなりになった方々に深い哀悼の意を表したいと思います。
このような席にふさわしくない話題かもしれませんが、敢えて皆さんにお話ししておきたいことがあります。地震とそれに伴う想像を絶する大津波、そして原子力発電所の事故、どれを取り上げても戦争に匹敵する大惨事ですが、平和な時代に自由を謳歌している我々人間の生活が如何に脆いものか、またこの大自然の中で人間の力が如何に非力であるか思い知らされる思いです。
ここで私は1人の人間として何が大切かを考え、「3つの心」を取り上げようと思います。まず、罹災され、今まだ厳しい寒さの中で十分な支援物資も届かない状態に置かれている沢山の方々のことを思い、今私たちは何が出来るかを考えること。そして、我々が無事に生きていけることは何によって、誰によって支えられているかを知ろうとする心を持つこと。そして3番目が、大自然は人間が征服できるなどと思い上がるなということです。
この3つを、「思いやり」、「感謝」、「謙虚」の心を持つと言い換えることができます。これからの長い人生の中で、大切な生きる指針となるでしょう。先月のニュージランドの地震では、ちょうど語学研修中でありました本学の学生やホテルで研修中でした卒業生も罹災しましたが、幸運にも全員ケガもなく、無事に帰国することができました。学生たちは帰国後、ホストファミリーをはじめ現地の多くの方々が、自分たちも罹災者でありながら、懸命に面倒を見てくれたことを異口同音に話してくれました。これも、思いやりと感謝によって、一生のきずなが結ばれた例だと思いますし、それが自分自身の心に「自らを譲っても人を助ける」ことの大切さが刻み込まれたものと思います。
さて、いつも言っているように、短大は入学する年と卒業する年しかありません。やらなければならないことは山のようにありますから、夢中で頑張っているうちに、2年など多分アッという間に終わったことでしょう。皆さん、本当によく頑張りました。社会に出る人、学業を続ける人、皆それぞれの場所で、芸文短大で過ごした年月を自分の自信の源として頑張ってほしいと思います。
専攻科の皆さんは、今回で3度目の修了生になります。皆さん方 49名を加え、これまでの修了生は142名になります。そのうち、4年制の大学と同じ「学士号」を希望された44名は全員取得することができました。学士号取得者も124名を数えることになりました。それぞれが目標を達成し、大学院への進学を決めた方も複数います。
また、本学には1度社会に出られて再び専門知識を取得するために社会人入学された方もいますが、若い学生にとって良き先輩として頼りにされました。このように、多くの仲間と交わり、ご家族、あるいはご親族、教職員など関係者の方々の有形無形のご支援に支えられて、皆さんは今日という卒業の日を迎えられたわけです。
これから皆さんの進む道は多様です。ただ確信できることは、この芸文短大での経験は誰に対しても誇っていい充実したものだったということです。その力を皆さん一人ひとりが持って、広くそして奥の深い社会に出て行ってください。
社会には、皆さん方を含めて、12,522名の芸文短大出身者がいます。たくさんの仲間ですから、出会うこともあるでしょう。そんなときには、ともに励まし合い力として下さい。
今までの学校時代は、あらかじめ引かれたレールとゴールが決まっていて、その上を走ってきましたが、これからは違います。レールもゴールもなく、むしろその双方を自ら決めなければならないという全く新しい人生のスタートです。既に成人式は済ませていますが、これからは真の大人として、自らの人生を設計して行かなければならないということになります。しかも、これからの人生は、今までの何倍も長いものです。
さて、一体どうすればいいのでしょうか。「なるようにしかならない」といって、流れに身を任せるだけですか。そうではないと思うでしょう?そんなときに、先ほどお話しした「思いやり」、「感謝」、「謙虚」の3つの「心」を思い出し、自分の毎日をそれに照らしてみて下さい。
自分が進んでいくために持つべき「心」は分かりましたが、それだけでは不足です。次は間違いなく前進していくための「3つの技(わざ)」を皆さんに伝授したいと思います。
3つの技とは「自分の意志を持つ」こと、「自分の得意技を持つ」こと、そして「実行する手段を持つ」ことです。
先ず、第1の「自分の意志を持つ」ですが、自分の進む方向を定めるには強い力、つまり意志の力が必要です。自分に自信が持てない人たちの中で、はっきりした意志を持った人はリーダーになることが出来ます。
一旦実社会に出て自分に仕事が与えられると、大学で学んだことが直接役立つのはごくわずかです。望まれる内容の仕事をするためには、改めて内容を理解し、そのための勉強が必要になります。そんな時に、自分の得意技があるとそれが自信になって、全てのことにその自信がプラスに影響を与えるようになります。それが第二の技です。
第3の技は「実行する手段を持つ」ということで、その手段として「三現主義」と「PDCAの輪を回す」をお奨めします。「三現主義」とは現場・現物・現状をみるということで、問題が起きたときに、人から聞いたことや読んだことだけで頭で考えて判断せずに、その起きた場所で、何がどのようになったのかを確認することです。
次にPDCAの輪を回すことですが、これはプラン・ドゥー・チェック・アクションのことです。自分が直面する事実に対して何をどのようにするのか、計画をして、実行し、その結果を判断して、改善すべきことは修正をする、これを何回も繰り返すことを「輪を回す」と表現するのです。今までやったことのない仕事を任されたとき、間違うことは恥ではありません。しかし同じ間違いを繰り返してはいけません。そんな時PDCAの輪を回すのです。回せば回すだけ、仕事の成果は目に見えてよくなっていくものです。「3つの技!」を忘れないで、役立ててください。
最後になりますが、私から皆さんに贈る言葉を申し上げましょう。本学の特徴である芸術系と人文系の学科があり、お互いに顔が見える中で勉学を修めた皆さんには、他の大学にはない、文化を感受する力が備わっているということを断言します。頭脳がバランス良く鍛えられることで、今は自分自身気がついていなくても、周りを巻き込む豊かな感性を持っているということに気がつくときが来るでしょう。自信を持って希望する道を邁進すれば必ず道は開けるし、周囲を幸せにすることができるということを、申し上げたいと思います。
改めて、「おめでとう、そして思い切って未来に向かって飛び立て!貴方にはそれが出来る力があるよ!」という言葉を皆さんに贈って、式辞と致します。
平成23年3月23日
大分県立芸術文化短期大学 学長 中山欽吾
大分県立芸術文化短期大学 学長 中山欽吾