第48回卒業式・第30回専攻科修了式 学長式辞
2010年03月24日
本日、大分県立芸術文化短期大学を卒業され、また専攻科を修了される443名の皆さん、誠におめでとうございます。ご多用のなか、ご臨席いただきました二日市副知事様、安部大分県議会議長様ほか、ご来賓の皆様方には、本学役員及び教職員とともに門出をお祝いできることは、私の最も喜びとするところであります。また、この卒業式にご参列下さいましたご家族、関係者の方々にも、心からお慶び申し上げますとともに、私どもの教育に後援会を通して様々なご支援をいただいたことに対しても厚く御礼申し上げます。
まず、卒業生の皆さん、本学における2年間の学生生活は、多分アッという間に終わったのではないかと思います。短期大学は入学する年と卒業する年しかないといわれますが、その2年間の毎日の積み上げは、実は決して少なくはありません。私は1年生と2年生の講義を幾度か参観したことがありますが、その授業に参加する皆さんの態度が1年で全く違っていたのに驚きました。気がつかないうちにこの2年間に学んだこと、経験したことが皆さんの身体の中にぎっしりと詰まっているのです。
次に専攻科ですが、造形と音楽の二つの専攻で構成され、2年間の学修成果により4年制の大学と同様、学士号を取得することができるものですが、今回2度目の修了生を送り出すことになり、合計40名が学士号を授与されました。これは誠に素晴らしい成果であり、皆さんのご努力に心よりおめでとうと申し上げたいと思います。
そして、多くのよき友と交わり、ご家族、あるいはご親族、教職員など関係者の方々の有形無形のご支援に支えられて、皆さんは今日という卒業の日を迎えられたわけです。これから皆さんの進む道は、今までの学生時代とは違って、それぞれ多様な道を進まれることになりましょう。ただ確信できることは、この芸短大での経験は誰に対しても誇っていい充実したものだったということです。
私は、本学に着任した際、「小さくてもキラキラ輝く宝石のような大学になろう」と申し上げました。1年半が経った今、その言葉が現実になりつつあることに大きな喜びを感じています。外から入ってきた光が、皆さんの内部で反射して出ていくのですが、キラキラ輝くためには皆さん一人ひとり、そして全体としての芸短大がそれだけ輝く光を外に向かって反射させて行かなければなりません。それが、私自身の予想を上回って、たった1年半で成果が出始めたということは、そもそも輝く要素をみんなが持っていて、その要素に磨きがかかってきたのだ、と考えることもできます。
皆さんは在学中、様々な機会に学外で活動する経験をしました。地域社会特講やサービスラーニング、インターンシップ、定期コンサートや出前コンサート、ふれあいアートや作品展等々、地域の人たちとのコミュニケーションに力を入れて来た活動の結果が、皆さんの経験を通して輝き始め、はっきりと外から見えるようになってきた証拠でもあると思います。その力を一人ひとりの皆さんが持って社会に出て行くのです。スタートでの助走はできています。
まず、卒業生の皆さん、本学における2年間の学生生活は、多分アッという間に終わったのではないかと思います。短期大学は入学する年と卒業する年しかないといわれますが、その2年間の毎日の積み上げは、実は決して少なくはありません。私は1年生と2年生の講義を幾度か参観したことがありますが、その授業に参加する皆さんの態度が1年で全く違っていたのに驚きました。気がつかないうちにこの2年間に学んだこと、経験したことが皆さんの身体の中にぎっしりと詰まっているのです。
次に専攻科ですが、造形と音楽の二つの専攻で構成され、2年間の学修成果により4年制の大学と同様、学士号を取得することができるものですが、今回2度目の修了生を送り出すことになり、合計40名が学士号を授与されました。これは誠に素晴らしい成果であり、皆さんのご努力に心よりおめでとうと申し上げたいと思います。
そして、多くのよき友と交わり、ご家族、あるいはご親族、教職員など関係者の方々の有形無形のご支援に支えられて、皆さんは今日という卒業の日を迎えられたわけです。これから皆さんの進む道は、今までの学生時代とは違って、それぞれ多様な道を進まれることになりましょう。ただ確信できることは、この芸短大での経験は誰に対しても誇っていい充実したものだったということです。
私は、本学に着任した際、「小さくてもキラキラ輝く宝石のような大学になろう」と申し上げました。1年半が経った今、その言葉が現実になりつつあることに大きな喜びを感じています。外から入ってきた光が、皆さんの内部で反射して出ていくのですが、キラキラ輝くためには皆さん一人ひとり、そして全体としての芸短大がそれだけ輝く光を外に向かって反射させて行かなければなりません。それが、私自身の予想を上回って、たった1年半で成果が出始めたということは、そもそも輝く要素をみんなが持っていて、その要素に磨きがかかってきたのだ、と考えることもできます。
皆さんは在学中、様々な機会に学外で活動する経験をしました。地域社会特講やサービスラーニング、インターンシップ、定期コンサートや出前コンサート、ふれあいアートや作品展等々、地域の人たちとのコミュニケーションに力を入れて来た活動の結果が、皆さんの経験を通して輝き始め、はっきりと外から見えるようになってきた証拠でもあると思います。その力を一人ひとりの皆さんが持って社会に出て行くのです。スタートでの助走はできています。
問題はこれからです。
今までは小学校、中学校、高等学校、大学と、あらかじめ引かれたレールとゴールが決まっていて、その上を走ってきましたが、これからは違います。レールもゴールもなく、むしろその双方を自ら決めなければならないという全く新しい人生のスタートです。既に成人式は済ませていますが、これからは真の大人として、自らの人生を設計して行かなければならないということになります。しかも、これからの人生は、今までの何倍も長いものです。さて、一体どうすればいいのでしょうか。「なるようにしかならない」といって、流れに身を任せるだけですか。そうではないと思うでしょう?
そこでこの新たな生活の始まりに当たって、間違いなく前進していくための三つの力と二つの技を皆さんに伝授したいと思います。
三つの力とは「自分の意志を持つ」こと、「自分の得意技を持つ」こと、そして「前向きに取り組む」ことです。実はこの三つの力は、お互いに関連し合っているのです。スポーツを例に挙げれば直ぐに分かると思います。バンクーバーの冬季オリンピックは昨日のパラリンピック閉会式ですべての日程を終えました。日本選手も一生懸命に頑張りました。勝負は抜きにしても、その姿をテレビで見て感動するのは、選手達のひたむきに頂点を目指す意志と、そこまで自分を鍛え上げた姿です。
フィギュア・スケートの金メダリストのキムヨナさん、銀メダリスト浅田真央さんはどちらも19歳、5位の安藤美姫さんは22歳、丁度皆さんと同じ年代ですが、世界中のトップ選手達のお互いに競い合う力は、どうしたら生まれるのでしょうか。
先ず、第一の「自分の意志を持つ」ということです。彼女たちは、はっきりと「オリンピックに出て優勝する」という意志を固めていました。だからこそ長い厳しい稽古に堪えられたのです。途中怪我やスランプでくじけそうになることもあったのですが、意志の力で乗り越えてきました。意志の力は目には見えませんが、自分の進む方向を定める強い力です。その反対に「自分の意志を持たない」とどうなるか考えたらよく分かります。自分に自信が持てない人たちだけが集まると、誰かの主張に付和雷同しがちになります。そのままにしていると、リーダーが間違ったことをいうと、みんなが大変な目に遭う恐れがありますし、いなければいないで、世の中の様々な出来事に出会う度に、どうして良いかおろおろしなくてはなりません。「赤信号、みんなで渡れば恐くない」という交通標語のパロディがありますが、もしそれで事故が起きたら誰の所為にするのでしょうか。つまり自分の意志を持つには、自分の判断に自信を持たなくてはならないということになります。次にお話しする「得意技」と結びつくのです。仲間内では、他の人と違う意見をなかなか言うことができないものです。しかしあとで後悔しないためには自分の意志を示すことが大切です。そうするためには、自分に自信を持つことだけでなく、きちんと相手に分かって貰うための表現力が必要になります。
第二は「自分の得意技を持つ」ですが、浅田さんはトリプルアクセル、3回転半という他の誰も跳ばなかった技を全て成功させました。キムヨナさんの場合、トリプルアクセルは跳ばなかった代わりに2連続3回転ジャンプと技と技のつなぎの滑りを美しく決めました。得意技を持っていることが自分の演技に自信を与え、その自信が一瞬の技の成功につながるのです。皆さん、是非自分の得意技を磨いてください。得意技は多ければ多いほど良いというわけでもないのですが、少なくとも二つは磨いて欲しいと思います。直接仕事に結びついている必要はなく、趣味でも何でも良いのです。そして、「これこれは自分の得意技だ」としっかりと認識しておいて下さい。一つだけの得意技をT型人間というのに対して二つの得意技を持つのをπ型人間といいます。「π」とはギリシャ文字で円周率を表すのに用いられていますが、横棒の下に二本足が生えているでしょう。得意技を持っていると、それを武器にすれば勝てるとか、この得意技を使えばできるとか、自信が生まれてきます。それが大切なのです。
第三は「前向きに取り組む」ということです。「頑張る」とか「チャレンジ」という言葉がこれに近いのですが、それに加えて「きっとできる!」とか、「一発やってやれ」と考えることが大切です。ピンチヒッターという言葉は皆さんよくご存じでしょう。ピンチヒッターは打席に立つのはいつもチャンスのときですね。なぜピンチというのでしょうか。それは、そのチャンスでヒットを打たなければ負けるという緊急の場面でも、ヒットが打てると期待されて選ばれた人と解釈すれば、よく理解できるでしょう。つまり難しい球でも打てる技術を持ち、自分の力を信じて、前向きに向かっていく積極性を持っている人が、このような場面で頼りになるピンチヒッターとなるのです。積極的に球に向かっていくということは、自分に自信を持っているから、「自分はこの得意技があるからできるんだ」といえることにつながるのです。
以上、三つのことはお互いに関連し合っていて、どれが欠けてもうまく行かないことがお分かりだと思います。
今までは小学校、中学校、高等学校、大学と、あらかじめ引かれたレールとゴールが決まっていて、その上を走ってきましたが、これからは違います。レールもゴールもなく、むしろその双方を自ら決めなければならないという全く新しい人生のスタートです。既に成人式は済ませていますが、これからは真の大人として、自らの人生を設計して行かなければならないということになります。しかも、これからの人生は、今までの何倍も長いものです。さて、一体どうすればいいのでしょうか。「なるようにしかならない」といって、流れに身を任せるだけですか。そうではないと思うでしょう?
そこでこの新たな生活の始まりに当たって、間違いなく前進していくための三つの力と二つの技を皆さんに伝授したいと思います。
三つの力とは「自分の意志を持つ」こと、「自分の得意技を持つ」こと、そして「前向きに取り組む」ことです。実はこの三つの力は、お互いに関連し合っているのです。スポーツを例に挙げれば直ぐに分かると思います。バンクーバーの冬季オリンピックは昨日のパラリンピック閉会式ですべての日程を終えました。日本選手も一生懸命に頑張りました。勝負は抜きにしても、その姿をテレビで見て感動するのは、選手達のひたむきに頂点を目指す意志と、そこまで自分を鍛え上げた姿です。
フィギュア・スケートの金メダリストのキムヨナさん、銀メダリスト浅田真央さんはどちらも19歳、5位の安藤美姫さんは22歳、丁度皆さんと同じ年代ですが、世界中のトップ選手達のお互いに競い合う力は、どうしたら生まれるのでしょうか。
先ず、第一の「自分の意志を持つ」ということです。彼女たちは、はっきりと「オリンピックに出て優勝する」という意志を固めていました。だからこそ長い厳しい稽古に堪えられたのです。途中怪我やスランプでくじけそうになることもあったのですが、意志の力で乗り越えてきました。意志の力は目には見えませんが、自分の進む方向を定める強い力です。その反対に「自分の意志を持たない」とどうなるか考えたらよく分かります。自分に自信が持てない人たちだけが集まると、誰かの主張に付和雷同しがちになります。そのままにしていると、リーダーが間違ったことをいうと、みんなが大変な目に遭う恐れがありますし、いなければいないで、世の中の様々な出来事に出会う度に、どうして良いかおろおろしなくてはなりません。「赤信号、みんなで渡れば恐くない」という交通標語のパロディがありますが、もしそれで事故が起きたら誰の所為にするのでしょうか。つまり自分の意志を持つには、自分の判断に自信を持たなくてはならないということになります。次にお話しする「得意技」と結びつくのです。仲間内では、他の人と違う意見をなかなか言うことができないものです。しかしあとで後悔しないためには自分の意志を示すことが大切です。そうするためには、自分に自信を持つことだけでなく、きちんと相手に分かって貰うための表現力が必要になります。
第二は「自分の得意技を持つ」ですが、浅田さんはトリプルアクセル、3回転半という他の誰も跳ばなかった技を全て成功させました。キムヨナさんの場合、トリプルアクセルは跳ばなかった代わりに2連続3回転ジャンプと技と技のつなぎの滑りを美しく決めました。得意技を持っていることが自分の演技に自信を与え、その自信が一瞬の技の成功につながるのです。皆さん、是非自分の得意技を磨いてください。得意技は多ければ多いほど良いというわけでもないのですが、少なくとも二つは磨いて欲しいと思います。直接仕事に結びついている必要はなく、趣味でも何でも良いのです。そして、「これこれは自分の得意技だ」としっかりと認識しておいて下さい。一つだけの得意技をT型人間というのに対して二つの得意技を持つのをπ型人間といいます。「π」とはギリシャ文字で円周率を表すのに用いられていますが、横棒の下に二本足が生えているでしょう。得意技を持っていると、それを武器にすれば勝てるとか、この得意技を使えばできるとか、自信が生まれてきます。それが大切なのです。
第三は「前向きに取り組む」ということです。「頑張る」とか「チャレンジ」という言葉がこれに近いのですが、それに加えて「きっとできる!」とか、「一発やってやれ」と考えることが大切です。ピンチヒッターという言葉は皆さんよくご存じでしょう。ピンチヒッターは打席に立つのはいつもチャンスのときですね。なぜピンチというのでしょうか。それは、そのチャンスでヒットを打たなければ負けるという緊急の場面でも、ヒットが打てると期待されて選ばれた人と解釈すれば、よく理解できるでしょう。つまり難しい球でも打てる技術を持ち、自分の力を信じて、前向きに向かっていく積極性を持っている人が、このような場面で頼りになるピンチヒッターとなるのです。積極的に球に向かっていくということは、自分に自信を持っているから、「自分はこの得意技があるからできるんだ」といえることにつながるのです。
以上、三つのことはお互いに関連し合っていて、どれが欠けてもうまく行かないことがお分かりだと思います。
さて、次に「二つの技」です。一旦実社会に出て自分に仕事が与えられると、何もかも分からないものだらけで、大学で学んだことが直接役立つのはごくわずかです。望まれる内容の仕事をするためには、改めて内容を理解し、そのための勉強が必要になります。中には当然うまく行かないことも出てくるでしょう。そんな時にお薦めできる、いい結果に結びつくようなやり方があります。「三現主義」と「PDCAの輪を回す」というのがこの技ですが、技といってもトリプルアクセルのように難しいことではありませんし、皆さん一人ひとりのペースでもできることです。是非この二つの技を使いこなしてください。
「三現主義」とは「現場・現物・現状」をみるということです。何か問題が起きたときに、人から聞いたことや読んだことだけで頭で考えて判断せずに、その起きた場所で、何がどのようになったのかを確認することです。私が時々授業風景を見学するのも目的は自ら確認するのが目的です。
次にPDCA、これはプラン・ドゥー・チェック・アクションのことです。三現主義で事実をつかんだら、自分がその事実に対して何をどのようにするのかを決めなくてはなりません。計画をして、実行し、その結果を判断して、改善すべきことは修正をする、これを何回も繰り返すことを「輪を回す」と表現するのです。
今までやったことのない仕事を任されたとき、間違うことは恥ではありません。しかし同じ間違いを繰り返してはいけません。そんな時PDCAの輪を回すのです。回せば回すだけ、仕事の成果は目に見えてよくなっていくものです。
三つの力と二つの技!忘れないで、役立ててください。
最後になりますが、私から皆さんに贈る言葉を申し上げましょう。本学の特徴である芸術系と人文系の学科があって、お互いに顔が見える中で勉学を修めた皆さんには、他の大学にはない、文化を感受する力が備わっているということを断言します。今は自分自身気がついていなくても、そのことは周りを巻き込む豊かな感性を持っているということにも繋がります。自信を持って希望する道を邁進すれば必ず道は開けるし、周囲を幸せにすることができるということを、申し上げたいと思います。改めて、「おめでとう、そして思い切って未来に向かって飛び立て!」という言葉を皆さんに贈りまして、式辞といたします。
「三現主義」とは「現場・現物・現状」をみるということです。何か問題が起きたときに、人から聞いたことや読んだことだけで頭で考えて判断せずに、その起きた場所で、何がどのようになったのかを確認することです。私が時々授業風景を見学するのも目的は自ら確認するのが目的です。
次にPDCA、これはプラン・ドゥー・チェック・アクションのことです。三現主義で事実をつかんだら、自分がその事実に対して何をどのようにするのかを決めなくてはなりません。計画をして、実行し、その結果を判断して、改善すべきことは修正をする、これを何回も繰り返すことを「輪を回す」と表現するのです。
今までやったことのない仕事を任されたとき、間違うことは恥ではありません。しかし同じ間違いを繰り返してはいけません。そんな時PDCAの輪を回すのです。回せば回すだけ、仕事の成果は目に見えてよくなっていくものです。
三つの力と二つの技!忘れないで、役立ててください。
最後になりますが、私から皆さんに贈る言葉を申し上げましょう。本学の特徴である芸術系と人文系の学科があって、お互いに顔が見える中で勉学を修めた皆さんには、他の大学にはない、文化を感受する力が備わっているということを断言します。今は自分自身気がついていなくても、そのことは周りを巻き込む豊かな感性を持っているということにも繋がります。自信を持って希望する道を邁進すれば必ず道は開けるし、周囲を幸せにすることができるということを、申し上げたいと思います。改めて、「おめでとう、そして思い切って未来に向かって飛び立て!」という言葉を皆さんに贈りまして、式辞といたします。
平成22年3月23日
大分県立芸術文化短期大学 学長 中山欽吾
大分県立芸術文化短期大学 学長 中山欽吾